谷畑 二郎
僕が絵本に興味を持つようになったのは、本屋で働き始めた30年前のこと。 今や還暦を達成したので、充分大人になってからのことです。それまで絵本と言うと、日本昔話とか、民話、グリムやイソップといった童話であると言う意識しかなかったので、作者は外国人なのに、タイトルは大阪弁?「なんだこれは」と取り出したのが『ぼちぼちいこか?』(マイク・セイラー作 ロバート・グロスマン絵 いまえ よしとも訳)。カバくんが「ぼく、船乗りになれるやろか?」と梯子を登っていくと、梯子が壊れて「なれへんかったわ」「船乗りはどやろうか」と船に乗ると、船がまっ二つ。バレリーナになってジャンプすると、ステージの床が抜けて「話にもならへんわ」。ピアニストもカーボーイも、サーカスの綱渡りも、バスの運転手も・・・。何をやってもうまくいかないかばくん。どないしたらええのんやろ。
そや。ええこと思いつくまで、ここらでちょっとひと休み。ま、ぼちぼちいこか・・・。
これも絵本か!僕にとって『ぼちぼちいこか』で絵本に目覚めたのでした。それからは、暇があれば絵本の棚へ。なんせここには、売るほど絵本が置いてある。(本屋ですから)猫にかつおぶしですな。
こうなりゃ、おもしろい絵本を探そやないかと、30年近く読んできました。本屋をやめてからも、その熱は冷めることなし・・・です。